ネクロマンサーの歴史 CLC〜TOG編
こんにちは ありみやです。
今回は自身がネクロマスター3週目を迎えたのを期にネクロについて一旦初心に戻って、過去の環境や歴史を振り返ろうと思いこのブログを書きました。
リリース当初からネクロに触らない時期はなかったとはいえ、曖昧な記憶に基づく表現もあります。ご了承ください。
また、長文に渡り語っているのでせっかちな人は下の目次から気になる環境を見てくれたら、と思います。
目次
CLC(クラシック 旧スタンダード)
シャドウバース誕生。構築がまだ混沌としていた中、最初に確立されたネクロのデッキタイプはアグロネクロでした。
(当時の再現デッキ これにケルベロスを3枚投入)
基本的には序盤から低コストを並べ積極的に攻め、お馴染み''ミミココ''ハウルで6ターン目に11点を与えフィニッシュを狙うのがコンセプト。ココミミハウル派は邪教。
個人的にお気に入りだったのがラビットネクロマンサー。処理カードがまだ少なかった先攻3ターン目に置けば1枚で5点以上のダメージを叩きだし、処理されたとしても2点ダメージと、最低限の仕事は果たしてくれる有能カード。
また、アグロデッキと言えど、悪戯なネクロマンサー、消えぬ怨恨(貴重な4点ダメージスペル)などで盤面を取る力もそこそこあり、ミミココハウルを通す準備にも事欠かくことはありませんでした。
このデッキタイプが生まれた背景としてはやはり当時tier1であったミッドレンジロイヤルの6コス、海底都市王・乙姫の存在が大きいと思います。
乙姫セージを返せるのはテミスの審判と黙示録、灼熱の嵐程度で、ネクロには盤面を返す手段がありませんでした。
さらにこの環境を語る上で外せない冥府エルフの存在。冥府やエンシェントエルフはもちろん、後半になるとフェアリービーストという「過剰なストレス」を与えるカードが飛んできて今までの努力が水の泡になることはよくあることでした。
つまり盤面を作られる前に倒そう!という現在にも通ずる思考が、6ターン目フィニッシュをコンセプトとするデッキを作りあげたと言えるでしょう。
弱点はやはり大型守護。天剣の乙女、ゴブリンマウントデーモン、ドラゴンガードなどに対しては
他のデッキタイプは当時はあまり流行らず、アグロネクロ一強でした。
モルディカイ、デスタイラント、骸の王など注目されていたカードはありましたが、どれも環境に合わなかったり、サポートカードの不足により使いづらさが目立つカードとなっていました。
(個人的には幽体化デスタイラントOTKが好きでした)
モルディカイはROB期で活躍することになりますが、骸の王が1年以上後に猛威を奮うなど一体誰が予想できたでしょうか…
当時のtier1:冥府エルフ、ミッドレンジロイヤル
DRK(ダークネス・エボルヴ)
ネクロ不遇期とされています。
特に宿敵ビショップの強化による影響は大きく、為す術もなく散る試合は多く存在しました。
また、追加カードもぱっとせず、死の舞踏こそ強カードなものの、ネクロ特有のカードの強化には至りませんでした。
当時のデッキレシピ
(例によってこれにケルベロスを加えたもの)
基本的には低コスを主軸とし、ミミココハウルでフィニッシュを狙うのはスタンダード期と同様。
DRK1番の注目カードはもちろん蝿の王…ではなく死の舞踏。
多くのアグロデッキの弱点である大型守護を処理しつつ顔にダメージを与えるカードは、似た効果のエクスキューションを化石にしました。(冥府やエイラなど割りたいアミュレットは存在したが見返りが少なかった)
他の注目カードはダークコンジュラー、ボーンキマイラでしょうか。
ダークコンジュラーは2/2スタッツでありながらゴーストを出す効果をもち、顔を詰めるもよし、処理するも良しと痒いところに手が届くカードでした。
ボーンキマイラは実質3/3であり、スケルトンナイトと入れ替える人が多かったです。「盤面にフォロワーを残し続ける」ことが次の弾あたりから重要になってきます。
死の一閃は惜しいカードでしたね。低コス除去の怨恨と大型処理の死の舞踏を足して2で割ったような性能だったため、採用されても次第に枠から抜けていきました。
このパックでは特にゴールド、レジェンド枠がアグロネクロと相性がそこまで良くなく、まだ猛威を振るう前のミッドレンジネクロやデスタイラント採用型で使われることになります。
とにかくこちらが常に主導権を握っていないと辛かった環境でした。1度でも盤面をとられるとそこから逆転するのは厳しいものです。
ビショップはもちろん、秘術ウィッチも大幅に強化され、破砕の禁呪に泣いた人も多かったのでは?
当時のtier1:(前半)冥府エルフ (後半)ミッドレンジロイヤル、超越ウィッチ
ROB(バハムート降臨)
ネクロに限らず、全てのクラスに大幅にパワーカードが追加された弾となっています。ドロシー、アルベール、そしてバハムート…
そんな中ネクロはというと、肝心のレジェンドカードがバグで実装を遅らせる事態に。
その短期間でネクロ使いは「ラストワード」の強さを再確認することとなります。
ラストワード(コントロール)ネクロの1例
そして今弾で追加された強力カードがこちら
今弾のシルバー枠はあまりに優秀の一言。今までおまけ程度だったラストワードが強力な効果を得ることで、相手へ相当な圧を与えることが出来たのです。
そしてネクロアサシンの存在によって相手の場を処理しつつ展開する、というお手本のような強ムーブを可能にしました。
これらを3種を3枚ずつデッキに投入しても合計エーテルは1080エーテル。うーん!
このラストワードネクロの強さは多くのプレイヤーからネフティスの存在を忘れさせたことからも伺えるでしょう。
しかし本番はここから。ようやくネフティスの実装です。ネフティスはかなり特殊なフォロワーで、採用の際にはデッキを丸ごと変えなければいけないカードでした。
いわゆる「2378」型や「2678」型などコストを4種類に絞ったレシピが開発されました。
当時のレシピ
この頃になると除去カードも豊富になり、ネクロはコントロールネクロ(ネフティスネクロ)が主流となりました。
中盤のフォロワーが抜けているため当初は不安もありましたが、蓋を開けてみれば盤面制圧力はとても高く、8ターン目まで繋げることはさほど難しいことではありませんでした。
ネフティスさえ出せば盤面に5/5 5/5(モルディカイ) 4/4、相手のフォロワーを2体除去+体力回復、とゲームを決める展開に持ち込むことは容易でした。
特にバハムートを恐れる必要が無い点はこのデッキの大きな強みと言えたでしょう。
しかしコントロールデッキの宿命でしょうか、アグロロイヤルやOTKエルフ、また、ドロシーに中盤に大展開されるとさすがに処理が追いつかずに負けることは多かったです。
ドラゴンに対して有利な相性を備えていましたが、そもそもドラゴンが当時微妙だったため、強力な性能を環境で活かし切ることは難しかったと言えます。
アグロネクロは御言葉の天使、リリエルの追加により一定数存在はしていましたがやはり今弾の追加カードはコントロール性が高かったことや、序盤から盤面を作られる展開が多かったため(ロイヤルの突進フォロワーやヴァンプの吸血鬼・ヴァイトの存在)流行るには至りませんでした。
ちなみに今弾で息を潜めていた化け物が目覚めるのは次の弾のお話。
当時のtier1:ドロシーウィッチ
TOG(神々の騒乱)
前弾で追加されたカードが強カードならば、今弾で追加されたカードはまさしく神カードと言って差し支えないでしょう。
カードをあげるとキリがないのですが、やはり
魔将軍・ヘクター。
現在も一線で活躍するこのカード抜きにTOG環境は語れないでしょう。
当時のデッキレシピの一例を再現
フォロワーを横に並べてバフをかける、といった戦術は主にロイヤルの得意分野とされていました。しかしその前にフォロワーを処理されることが多く、あまり上手く決まることはありませんでした。
しかし今弾追加された骨の貴公子のおかげで盤面維持は容易になり、6ターン目には死の祝福で横展開をした後ヘクターを出す、といった完璧な強ムーブの前には、3ターン目で骨の貴公子が出た段階でリタイアボタンを押させるほどでした。
攻撃はもちろん、ヘクターは守備的な役割も果たし、相手の盤面を一掃し逆転の狼煙をあげる…まさに「将軍」といったカードでしょう。
環境で猛威を奮っていたドラゴンに対してはカムラを雑に投げるだけで動きが止まるほど相性が最高に良かったこともあり、当時の環境は"ネクドラバース"と呼ばれるまでになりました。ネクロ初のtier1です。
当時最強のドラゴンを手玉に取れたのもそのはず、デッキの半分以上のカードは除去カードだったためです。
よろめく不死者、ネクロアサシン、カムラをはじめ、破魂の少女、ゾンビパーティ、オルトロスと溢れんばかりの除去カードを用いて盤面を制圧しました。進化権を余らせて試合を終えることも少なくありません。
ヘクターネクロとも呼ばれたこのデッキは今後のデッキタイプの主流となる原型となりました。
また、低コス帯の強カードの追加はアグロネクロも強化することに。
アグロネクロ
注目カードはシャドウリーバー。前弾であまり注目されなかったこのカードがナーフされるまで強力なことに気づいたのは時間が経った頃でした。
今までのアグロネクロはミミココハウルがあるとはいえ、残り9点をどう削るかが課題でした。また、回復カードや守護カードの充実に加え、フォロワーを処理され続けジリ貧になるのが今までの負けパターンでした。
今弾のカードはまさにその弱点を全て補ったと言って良いでしょう。
骨の貴公子で盤面維持をし、オルトロスでバフをかけつつ相手フォロワーを処理。この時点でミミココハウル圏内が見えることも。
シャドウリーパーの強い点は、盤面のフォロワーを処理に使える点だと考えています。破壊されただけ攻撃力を上げることで、本来顔にいきたかった打点を補うことができました。
ちなみに体力も上昇するため、取りこぼしたシャドウリーパーの攻撃力が7や8になることは珍しくありませんでした。
弱点を強いてあげるならやはりアグロデッキの宿命、リソース不足に陥りやすい点でしょうか。当時は優秀なドロソが少なかったため、右手を光らせることが唯一の対策となっていました。(後の環境ではウィッチ以上にドローするクラスになります。)
しかし弱点を補って余りあるほどの破壊力で、ヘクターに次ぐインパクトを与えたことは間違いありません。
今環境のネクロはあまりに猛威を振るいすぎたせいで、中心カードは軒並みナーフされることになります。シャドウリーパーと骨の貴公子はTOG環境で、破魂の少女と魔将軍ヘクターは後の環境でそれぞれナーフされました。
しかしシャドウリーパーこそ採用率が下がったものの、他のカードはまるで影響がなかったかのように活躍し続けたことからも、カードの強さを表しています。
ちなみに当時ヘクターやシャドウリーパーが猛威を奮っている中、手帳ネクロと呼ばれるデッキタイプが密かに流行っていたのをご存知でしょうか?
前環境のネフティスネクロの系譜を受け継いだデッキタイプです。低コスト帯のネクロカードを闇の従者、地獄の解放者に絞り毎ターン4/4のリッチを出すデッキです。
ネフティスネクロの弱点であった中盤を支えることで、よりスムーズに8ターン目のネフティスに繋ぐことができました。
このタイプのデッキにありがちな評価ですが、「出せれば強い」「引ければ強い」といったものでした。
それに加え、当時最強だったよろめく不死者や骨の貴公子などを抜いてまでこのデッキを作る必要があるのか?ということで環境に躍り出ることはありませんでした。
TOG環境はネクロにとって、今後の環境に大きな影響を与える重要な転換期となりました。また、ヘクターに対する依存度が他カードの比ではなく、ローテ落ちした時に地獄を見るのはまだ先のお話です。
当時のtier1:ミッドネクロ、ランプドラゴン
ここまででシャドウバース誕生からの1年を振り返りました。
この頃はまさに激動の時代と言っても差し支えはなく、ゲームの盛り上がりも最高潮の頃だったと記憶しています。その反面、あまりにカードパワーが強化されたことによりゲーム性が単調なものとなり、今後のシャドウバースに暗雲が見えた時代でもありました。
次回のブログはカードパワーの絶頂期とバブルの崩壊を迎えたワンダーランドドリームスをはじめ、新フォーマットによる次世代のネクロについてまとめられたらなと思います。
長文をここまでお読みいただきありがとうございました。
次回もお付き合い頂けると幸いです。